景気回復の芽吹きとなるか、これからの推移に注目 商工会地区の景況は停滞から一服感へ |
−2007年1月〜3月期 中小企業景況調査報告書概要− |
嘱託専門指導員 中川すみ子 |
日銀が発表した3月の企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は4・四半期ぶりに悪化したとありますが、商工会地域の景況調査においては製造業を除いて、前期(2006年10月〜12月)よりマイナス幅が縮小しました。しかし、依然全産業ともマイナス値であることに変わりがない上に、小売業、サービス業ではその値も高いため、「回復」の実感はないものと思われます。
今期設備投資を実行した企業割合も最も高い小売業が13.0%、最も低いサービス業が8.3%と、総じて低いものとなっています。来期(2007年4月〜6月)についても、緩やかながら回復に向かいそうな予測値となっており、これからの推移が注目されます。
業界天気動向図
項目 | 売 上 | 採算(経常利益) | 資金繰り | |||||||||
年 月 業 種 |
H18 4 | 6 月 |
7 | 9 月 |
10 | 12 月 |
H19 1 | 3 月 |
H18 4 | 6 月 |
7 | 9 月 |
10 | 12 月 |
H19 1 | 3 月 |
H18 4 | 6 月 |
7 | 9 月 |
10 | 12 月 |
H19 1 | 3 月 |
製造業 | ![]() |
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建設業 | ![]() |
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小売業 | ![]() |
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サービス業 | ![]() |
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区 分 | 増 加 | やや増加 | 横ばい | やや減少 | 減 少 | 大幅に減少 |
好 転 | やや好転 | やや悪化 | 悪 化 | 非常に悪化 | ||
DI値(前年同期比) | 20.1〜 | 5.1〜20.0 | 5.0〜△5.0 | △5.1〜△20.0 | △20.1〜△35.0 | △35.1〜 |
表 示 | ![]() 快晴 |
![]() 晴れ |
![]() 曇り |
![]() 小雨 |
![]() 雨 |
![]() 豪雨 |
今期直面している経営上の問題点
製造業 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |||||
1位にあげる問題点 | 製品(加工)単価の 低下・上昇難 需要の停滞 |
− | 製品ニ―ズの変化 従業員の確保難 |
− | 大企業の進出による競争の激化 原材料価格の上昇他 |
|||||
- | 17.9 | - | - | - | 10.7 | - | - | - | 7.1 | |
建設業 | 1位 | 1位 | 3位 | 4位 | 5位 | |||||
1位にあげる問題点 | 官公需要の停滞 | 新規参入業者の増加材料価格の上昇 請負単価の低下・上昇難 |
− | − | 大企業の進出による競争の激化、 材料費・人件費以外の経費の増加 |
|||||
26.9 | 33.3 | - | 11.1 | - | - | - | - | - | 7.4 | |
小売業 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |||||
1位にあげる問題点 | 大型店、中型店の進出による競争の激化 | 購買力の他地域への流出 | 需要の停滞 | 消費者ニーズの変化 | 販売価格の低下・上昇難 | |||||
28.9 | 32.6 | 24.4 | 25.6 | 4.4 | 14.0 | 15.6 | 9.3 | 4.4 | 7.0 | |
サービス業 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |||||
1位にあげる問題点 | 利用者ニーズの変化 | 新規参入業者の増加 人件費以外の経費の増加需要の停滞 |
− | − | 店舗施設の狭隘・老朽化 材料等仕入単価の上昇 |
|||||
20.7 | 20.0 | - | 13.3 | - | - | - | - | - | 10.0 |
(数値の左は前期構成比、右は当期割合を%で記す) |
[1. 現役を続ける高齢者にどのような商品・サービスを提供していくか]
団塊の世代の大量退職が始まる年度を迎えましたが、現役を続ける、続けたいという人も多いそうです。70歳まで現役で働くことを目指す時代にもなっています。退職される人も含め、これからの人生をどう充実して過ごしていくかが超高齢社会においてますます重要度を増してきます。高齢者というキーワードでひとくくりに出来るものではないことから、各人のライフスタイルにどのような商品、あるいはサービスを提案していったらいいか、地域に密着した中小企業ならではの発想力、柔軟性などを十分に生かし、従来の概念から外れた新たな商品・サービスの開発・提供が期待されているのではないでしょうか。
[2. ビジネスパートナーの発掘と連携強化を図る]
一社の経営資源ではどうしてもすることが限られてきます。他社と協同、連携することで、付加価値の高い魅力ある商品、サービスの開発も可能になり、相乗効果を生み出していくことが出来ると思います。